2021.03.19

生産者と消費者の橋渡しが重要なので、知ってもらう活動に力を入れます!

食品ロスの問題に関心をお持ちになったきっかけは何ですか?本格的に取り組まれるようになった経緯を教えてください。

獣害対策支援の仕事で捕獲される有害鳥獣の9割以上が廃棄されている現状を見たためです。人里の農作物を荒らすのは敵意があってやっている訳ではなく、自然が豊富になり生息数が増えているためなので、捕獲をいくら頑張っていてもその力が弱まったら元通りになります。だとしたら、無駄に捕獲して棄てられる命を少しでも利活用すること、ジビエとして食へ変えることが一つできることと考えています。

食品ロス削減に対するご自身の活動の中で、最も印象的なエピソードを教えてください。

有害鳥獣は捕獲される時期・年齢・性別など、個体によって味が変わります。また、農家さんが最も被害に合う時期が夏場で、山から餌が無くなる時期ですが、その時期の個体は痩せていて食肉には向いていないこともしばしばあります。以上のように、品質が不安定かつ安定供給ができない食材について、どのようなスタンスで食肉分野の他の肉と向き合い、どのように販路を確保していくかという点にやりがいを感じています。

食品ロス削減に関して、ご自身が感じている今の課題についてお話しください。

担い手の不足が最も重要な課題です。それは主に捕獲を担う人材ですが、地域自体が人口減少・高齢化になっており、現在の捕獲を担う人材も70代男性がメインなので、数年後には破綻すると考えています。現状では、捕獲した鳥獣の処理を行うための埋設場所・焼却施設などは、オーバースペックであるため、ジビエ普及を急ぎたい気持ちもありますが、そもそもの人材の受け皿ができていないため、進み具合も遅くなっています。

今後、ご自身がより力を入れて取り組んでいきたいと考えていることは何ですか?

今後は人材育成に取り組みながら、次世代への知識・技術の継承を目指して行きたいと考えています。「有害鳥獣」というわかりやすい敵がいる「獣害」は、地域にアプローチするきっかけとなりやすい地域課題です。そのため、獣害対策を入口にしつつ、ジビエの普及だけではなく、事業承継や空き家対策などのその他の地域課題も吸い上げられると考えているため、そちらにも力を入れます。

食品ロス削減への取り組みの中で、つながれるといいな、またはつながってよかったと思われる方

飲食店、仲卸業者、設備業者、観光関係、移住定住関係者、空き家対策関係者

食品ロス削減プロジェクトに対して期待されることについて、メッセージをお願いいたします。

食に関しても「足るを知る」というのが次の世代での必要な要素と考えています。自分の身の回りだけではなく、世界的な視野で見た場合にも食が「足りている地域」「足りていない地域」は可視化できると考えられます。まずは個人が「足るを知る」ことで、よその地域・よその国へ余剰の食品を与えることができる、そのような世界を目指すべきと考えます。