2021.03.01

マインドセットを変えて、 行動を起こしましょう!

食品ロスの問題に関心をお持ちになったきっかけは何ですか?本格的に取り組まれるようになった経緯を教えてください。

昆虫食に関する抵抗感情の研究をやっているのと、大学では自炊や食にまつわる地域おこしの活動もサポート しており、食への関心 が高まりました。食糧問題の対策のためには、昆虫食など新しい食料源の開発はもちろん重要ですが、既存の食料源の無駄を減らすのも重要です。コロナ禍でのパニック買いや食習慣の変容を目にして、食品ロスに関する心理行動研究を本格的に始めました。

食品ロス削減に対するご自身の活動の中で、最も印象的なエピソードを教えてください。

研究では日本全国で調査を行い、コロナ禍の影響が大きい地域(東京、大阪などの8の都道府県)とそれ以外の地域の間に、食品ロスに関する意識と行動の差が多く見られました。しかしその差はコロナ禍の影響によるものなのか、それとも都市部と地方のライフスタイルの違いによるものなのかは精査する必要があります。
いずれにしても、地域によって、食品ロスの問題、ステークホルダーと解決手法には多様性があると再認識しました。これは、日本だけではなく 、世界中でも同様だと思います。

食品ロス削減に関して、ご自身が感じている今の課題についてお話しください。

多くの人にとっては、食品ロスと自分の生活はどれほど関与しているのか、なかなか実感できないのが課題です。日本は昔から家庭内では食べ物を大切にする習慣があります。米を一粒残さず食べて、おかずや果物も残さずに食べ切るのがマナーとして定着しています。一方で、食卓など「おもて」に出される食べ物はあくまでも食料全体のごく一部、というか色んな意味での「厳選されたもの」であり、の背後に存在する巨大な食品ロスが見えないのは問題です。「出された食べ物を全て食べ切れば、食品ロスとはもう関係ない」との思いを減らすには、身近な食品ロスの「見える化・見せる化」が第一歩だと思います。

今後、ご自身がより力を入れて取り組んでいきたいと考えていることは何ですか?

今後は食品ロスに関する心理・行動面の研究を中心に取り組みたいと思います。それと同時に、これまでやってきた大学での自炊促進や地域おこし活動を通じて、食品ロスの意識向上と行動喚起などにつながる啓発活動にも積極的に取り組んでいきたいです。当面は、コロナ禍での食品ロス研究をまず最優先にしたいと思います。

食品ロス削減への取り組みの中で、つながれるといいな、またはつながってよかったと思われる方

食品ロス研究を始めたばかりなので、できるだけ多種多様な人々と 繋がって、食品ロスに関して多様な視点から学びたいです。

食品ロス削減プロジェクトに対して期待されることについて、メッセージをお願いいたします。

海外の人からすると、日本には美味しいものがたくさんあり、日本人は食と自然を大切にする印象も持っています。しかし、日本における食品ロスの実態を知った途端に唖然とします。日本人の場合も、普段はこれだけ倹約しているので、知らない・見えないところで無駄が大量発生しているとわかるとびっくりするでしょう。このプロジェクトを通じて、印象と実態、こころと現実の乖離を縮ませて、食を大切にする社会を実現できればと思います。