- 食品ロスの問題に関心をお持ちになったきっかけは何ですか?本格的に取り組まれるようになった経緯を教えてください。
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弊社(CCC)が保有するT会員のビッグデータ/7000万人を超える生活者基盤を、社会課題を解決したり社会価値を生み出したりするために活用する方法を検討するなかで、まずは地域課題にフォーカスすることになりました。
そこで第一次産業、なかでも「第一次産業の第六次産業化」をテーマに推進していく中で、地域の方々から「未利用魚」に関する課題を教えていただいたのがきっかけです。これが五島列島の未利用魚を活用する「五島の魚プロジェクト」につながりました。
こういったプロジェクトはもちろん、私たちはすべての取組において、はじめから「これが課題だ」と決めていくのではなく、まず現場との対話を通じてニーズや課題を抽出する、というスタイルで進めています。つまり、社会課題・地域課題に関する多様なステークホルダーの方々との対話を通じて、食品ロスに関連した課題が導かれた形です。
- 食品ロス削減に対するご自身の活動の中で、最も印象的なエピソードを教えてください。
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「五島の魚プロジェクト」で、始めは未利用資源の利活用という大義に共感して参加いただいた方々が『「明るい未来が描ける」「経験がない取組にチャレンジできる」というワクワク感や楽しさがあったから続けてこられた』と仰っていたことです。
プロジェクトを継続するには、大義はもちろん、実際に参加されている方々の思いや充実感、精神的なメリットも大切なのだと感じました。
また、こういった活動を通して、社会課題に関する取り組みは、マルチステークホルダーの方々にとっても持続可能な内容である必要があるということも感じました。
達成したい未来や大きなゴールは同じでも、その達成への過程でステークホルダーごとに異なるメリット/デメリットに配慮できなければ、そのための取組は実現しないと思うんです。誰かが無理をする取組は続けられないですよね。
社会課題の解決に関わるマルチステークホルダーが、自分たち自身にとっても、アクションを起こす意義やメリットがあって、持続可能な構造になっているか、というのは特に気を遣っている点です。
- 食品ロス削減に関して、ご自身が感じている今の課題についてお話しください。
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食品ロス問題は、すべてのステークホルダーが同じ速度で取り組みを進めなければ解決しにくいと考えています。これが一番難しい所なのではないでしょうか。色々な立場の方(生産者、小売り、消費者など)を巻き込んで、達成したい未来や目標を共有するだけでは不十分で、アクションを起こす速度も同じでなければ解決につながらない問題だと考えています。ステークホルダーの方々の足並みをそろえる所が難しいと思います。
- 今後、ご自身がより力を入れて取り組んでいきたいと考えていることは何ですか?
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弊社では、3月から新たに「Tカードみんなのエシカルフードラボ」を発足しました。
これは生活者を中心に、幅広いステークホルダーと対話を重ねながら、世界的な課題である“持続可能な食”につながるエシカルフードアクションについてみんなで学び、考え、行動していく共創型プラットフォームです。
一つ目のテーマである未利用資源の商品開発・啓発では、数多ある未利用資源の中からまずは「未利用魚」をアジェンダとして取り組んでいきます。これについては2018年から取り組んでいる「五島の魚プロジェクト」が全国に展開され、多くの方々と共創をしながら続けていく予定です。
そして、二つ目に「エシカルフードスコア(仮称)」の作成・活用というテーマを置いています。さまざまな有識者の方々や食関連のメーカー各社の協力を得ながら、エシカルやサステナブルなライフスタイルの志向性をスコアリングし生活者へ提示をすることで、自発的なアクションを促進できればと考えています。
- 食品ロス削減への取り組みの中で、つながれるといいな、またはつながってよかったと思われる方
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ありとあらゆるステークホルダーとつながりたいです。
特に「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では下記のような方々と連携したいと思っています。
・地域の自治体や生産者さん
・一般食品メーカーさん
・流通業者さん
・環境省、消費者庁、農林水産省などエシカル消費、エシカルフードに関係する各省庁
- 食品ロス削減プロジェクトに対して期待されることについて、メッセージをお願いいたします。
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社会課題は共創でしか解決できないと思っていますので、このプロジェクトは共創のプラットフォームになればいいなと思っています。
そして、私たちとしては、このプラットフォームを通して連携できるステークホルダーを増やしていきたいです。
みんなで学んで、みんなで考えて、みんなでアクションをする