- 食品ロスの問題に関心をお持ちになったきっかけは何ですか?本格的に取り組まれるようになった経緯を教えてください。
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幼少の頃から、食べ物を無駄にすることに強い抵抗があり、家庭でも米粒一つ残さないように教育を受けてきたことが大きく影響しています。現在、食に関わる新規事業プロジェクトを推進しており、その一環として、シンガポールにおける飲食店の食品ロス削減・使い捨て容器削減を目的としたビジネスアイディア検証に挑戦したことで、本格的に食ロス問題に着目するようになりました。
- 食品ロス削減に対するご自身の活動の中で、最も印象的なエピソードを教えてください。
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シンガポールで実施した、飲食店から排出される余剰食材・使い捨て容器の削減を目的としたビジネスアイディア検証です。オフィスビルで営業する飲食店4店舗に協力をいただき、余剰食材を活用して調理した、通常メニューには掲載されていない「特別まかないメニュー」を専用WEBページに投稿してもらい、ユーザーがWEB予約できる仕組みを構築しました。まかない料理の提供時にはリユース容器に入れ、価格は通常メニューよりも安価に販売しました。飲食店のメリットとしては、廃棄間近の余剰食材が新たな収入源に変わり、リユース容器で提供することによるエコフレンドリーな飲食店としてのブランド価値向上です。また、ユーザーメリットとしては、通常メニューにない特別なメニューを安価に購入でき、使い捨て容器の購入に毎回余計なお金を費やす必要がなくなります。参加企業からは取り組みに対する評価をいただいた一方で、ユーザー一人ひとりの意識は利便性やコストを優先することが明確になりました。
- 食品ロス削減に関して、ご自身が感じている今の課題についてお話しください。
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食ロス削減は食に関わる業界だけが解決に取り組むものではなく、どの業種でも解決に向けて取り組むべき課題だと考えています。一方で悩ましいのは、根が深い社会課題であるが故に、ビジネスにすることが非常に困難なテーマであるとも感じています。食ロス削減に貢献したいという個人の想いはありますが、自分一人が意識するだけでは社会へのインパクトは与えられないと感じます。食ロス削減というテーマに対しては、各社が会社として本気で取り組む姿勢を見せない限りは、根本的な解決には至らないと思いますので、意志ある個人、会社が手を組んで大きなムーブメントにしていく必要があると感じます。
- 今後、ご自身がより力を入れて取り組んでいきたいと考えていることは何ですか?
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シンガポールで実証実験をしたビジネスアイディアを、日本でもオフィスビルを中心に、テナントとして入っている飲食店と協力をして再検証をしたいと考えています。シンガポールでの実験結果からは多くの学びを得ましたので、初期のアイディアに固執することなく、引き続き多くの方々から意見をいただき、ピボットを繰り返すことで、根本から食ロス削減に貢献できる仕組みを生み出すことが目標です。現在推進している食の体験価値最大化を目的とするFood Communicationプロジェクトの一環として、楽しく食事をする裏側で、自然と食ロス削減に貢献できるような、生活者メリットの高いサービスをつくりたいと考えています。
- 食品ロス削減への取り組みの中で、つながれるといいな、またはつながってよかったと思われる方
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つながってよかった: シンガポール拠点のグローバルリーディングカンパニー(Johnson&Johnson、Dyson)、食ロス削減にアプローチしている国内スタートアップ
つながりたい: 食ロス削減に貢献したい飲食店、食ロス削減をテーマに事業予算を組むことができた企業(意見を聞きたい)、一緒にビジネスをつくる人
- 食品ロス削減プロジェクトに対して期待されることについて、メッセージをお願いいたします。
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食ロス削減に貢献したいと考える、意志ある方々とつながることで、自組織を動かせる程の一大ムーブメントになることを期待しています。
食品ロス削減に貢献することで、食をもっと楽しくしよう。