- 食品ロスの問題に関心をお持ちになったきっかけは何ですか?本格的に取り組まれるようになった経緯を教えてください。
-
子どもの時に発展途上国の飢餓の問題を知り、誰もが食べ物を無駄にせず、かつ誰もが必要な食事を当たり前に食べられる社会になればいいなと思ったことがきっかけです。
2015年12月、公明党食品ロス削減推進プロジェクトチームを立ち上げ、座長として本格的に活動を開始しました。普及啓発のために、各地で講演会や展示を開催し、フードドライブにも取り組みました。食品ロス問題の第一人者である井出留美先生にも一緒にご講演いただいたことは、その後の活動の大きな弾みになりました。
- 食品ロス削減に対するご自身の活動の中で、最も印象的なエピソードを教えてください。
-
井出留美さんはじめ、多くの方々のご協力で、食品ロス削減推進法を成立させることができました。
各地で講演会を開催する中で、後日、参加者にお目にかかると「あれから(買い物をする時に)“手前どり”やっているよ」というお声がけをいただく事が多々ありました。食品ロスについて知ることが行動変容につながり、実践的な国民運動を進めるための法律の必要性を確信しました。
PTとして、自治体や業界・消費者団体へのヒアリング、フードバンク、子ども食堂の現場視察など、意見交換や調査を重ね、2016年には「食品ロスゼロをめざして」との提言を政府へ提出。生産から流通、小売り、消費者など関係者全員の合意点をさぐりました。また大きな課題である食品の安全性の責任の在り方について国が調査検討すると整理しました。そして、日本で初めてSDGsに関連する法律ともなった、食品ロス削減推進法案をまとめました。各政党へ賛同を呼びかけ、超党派の議連もでき、全会一致で法律成立につなげました。
2019年10月に食ロス法が施行され、例えば、政府・行政が備蓄食品を廃棄せず、活用するように変わり、賞味期限が迫った商品の値引きや購入時のポイント付与、季節商品の予約販売の拡大、アプリを活用したフードシェアの普及など、事業者の取り組みが以前より進み、徐々にですが、法律の効果を感じています。
- 食品ロス削減に関して、ご自身が感じている今の課題についてお話しください。
-
食品ロス削減には消費者の行動変容を促すこととそのための「見える化」が大切と考えています。例えば、食品ロス削減推進法の基本方針では事業者は、食品ロス削減のためにどのような取組みをしているかを開示することを推奨されています。これが進むと、消費者は開示された情報から食品ロス削減により積極的に取組む事業者の商品を選択できるようになります。このように事業者の情報開示と、消費者がそれを評価して、行動変容に繋げることが、遠回しのように見えても確実に、食品ロス削減を後押しできると考えています。
また食品ロスが生まれやすいところと、食品を必要としているところを効率的につなげていきたいと考えています。食ロスを防ぐ商品を寄付つき商品として販売し、その利益の一部を子ども食堂などに回す場合、税制面で企業もメリットがあるしくみづくりに取り組んでいます。関係各所と連携をとり、政策的に食品ロス削減を後押しできるように、取り組んでいるところです。
- 食品ロス削減への取り組みの中で、つながれるといいな、またはつながってよかったと思われる方
-
これまでも多くの団体、企業、各地のフードバンクや子ども食堂に携わる方々とつながってきましたが、食品ロスを減らしたいと思っている人や、必要な人に食べ物を届けたいと思っている人、それを応援したいと思っている人など、志を同じくする皆さんとつながっていきたいです。
- 食品ロス削減プロジェクトに対して期待されることについて、メッセージをお願いいたします。
-
このプロジェクトを通して、幅広い方々と食品ロスに関する情報や思いを共有できたことは非常に大きな価値を持っていると思うので、今後もこのつながりは大切にして、さらに次の新しい取り組みにつなげることができればと思っています。
食品ロス削減は、売り手・買い手・世間(地球環境)の「三方良し」