2021.03.01
- 食品ロスの問題に関心をお持ちになったきっかけは何ですか?本格的に取り組まれるようになった経緯を教えてください。
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自社で運営するびっくりドンキー店舗や食品加工場のごみを回収する作業をした時に、まだ食べられるものが捨てられているのを目にしたことがきっかけ。2017年に、会社の環境行動目標として「食品廃棄物量の原単位を売上百万円あたり54.1kgから2020年度までに50.0kgにする」ことを設定してから、本格的に取り組みを始めました。
- 食品ロス削減に対するご自身の活動の中で、最も印象的なエピソードを教えてください。
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食品リサイクルについて は、1998年からびっくりドンキー店舗ごとに生ごみ処理機を設置するなど、比較的早くから取り組みを始めていました。そのおかげで、2019年度の再生利用等実施率は93.5%まで向上しました。一方で、リサイクルをするには 多くの労働、エネルギー、お金がかかることも課題と感じていました。これまでは出たごみをどうやってリサイクルをするか?を考えていましたが、そもそも食品ごみを出さないことが一番重要で、課題を同時解決できることに気づいたのです。
私たちの会社ではどこでどのような食品ごみが出るのかを調べ、店舗・食品加工場・発注済み仕入れ食材の3つでした。それぞれで、どんな時にどんな理由で排出されるのかを把握し、出さないようにするためには 何を変えるのか、を考えています。
店舗では食べ残しの多かったライスの小盛メニュー、 子ども向け完食応援イベント「もぐチャレ」の実施、食品加工場では製造工程の見直しによるロスの低減や消費期限の見直しを行っています。また、賞味期限が十分残っているのに期間限定メニューが終了して使わなくなった食材は、販売期間の延長や値引き販売、フードバンク運営団体と連携するなど、全社横断的なタスク活動として 取り組んでいます。
- 食品ロス削減に関して、ご自身が感じている今の課題についてお話しください。
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品切れを起こさないようにするために 、過剰な食材を在庫し、使いきれずに廃棄する、という流れをどうやって断ち切るか。品切れした場合、お客様に丁寧に説明・謝罪し、納得していただく対応となっており、一部は「CMを流しているのに店にはないのか」という声もあるなど、“品切れが悪 ”というのが現状です。そのような状況から、現場で対応する負担を減らすために十分な食材を用意し 、その一方で食品廃棄は増えてしまいます。お客様も含め、 全体での仕組みづくりが課題 だと感じています。
- 今後、ご自身がより力を入れて取り組んでいきたいと考えていることは何ですか?
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店舗から出る食品廃棄物の半分を占めるライス廃棄の低減です。炊き立てを提供するために、一定時間を経過したライスをロスにしていました。美味しさを保ちつつ、廃棄を減らすために、容量の小さい炊飯ジャーを導入し、削減効果の検証をします。また、季節限定メニュー食材の廃棄を減らすことも重要です。発生量は大きくありませんが、もったいなさはナンバーワンです。売れるものは売り切る仕組みを作りたいと考えています。並行して、信頼できるフードバンク運営団体とのパートナーシップを構築し、支援が必要な方々に食品を届けてもらえればと考えます。食品ロス削減が、トレード・オンになるように取り組んでいきたいです。
- 食品ロス削減への取り組みの中で、つながれるといいな、またはつながってよかったと思われる方
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食材や料理が無駄にならないようにする活動を、ワクワク・楽しく・大勢で参加できる仕組みを考える人たちと繋がりたいです。
- 食品ロス削減プロジェクトに対して期待されることについて、メッセージをお願いいたします。
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私たち外食産業における食品ロスを減らすには、お客様の協力が不可欠です。注文した料理は全て食べきるのはもちろんですが、食品ロスに取り組んでいるお店を選ぶなど、お客様から支持を得ることが本取り組みを推進する一番の理由となります。食べものを捨てて、喜ぶひとは誰もいません 。食べものを育てた人も、仕入れた人も、加工した人も、運んだ人も、調理した人も、食べた人も、ごみを運ぶ人も、誰も喜ばないのです。一緒に取り組んでいきましょう。
食べものを捨てて、喜ぶひとは、誰もいないということ